乳がんと診断がついた患者様56名の統計を算出し、全国統計と比較して考察を記載しております。
ご参考にされてください。
年齢別分類
乳がんは40歳代と60歳代に2つのピークがあります。
当院で診断がついた56人の患者様も40歳代が最も多いのは統計通りですが、 次に多いのが50歳代なのは・・・
当院が天神の真ん中にあることで、周辺に住んでいる女性たちや天神地区で働いている女性たちの年齢層を反映しているのかもしれません。本来なら多いはずの60歳代よりも30歳代の比率が多い点は気になります。
当院が天神地区で認知された結果、30代の早いうちから乳がん検診を受けて頂いた女性たちが増えた結果を反映しているものと信じたいですが、 日本人女性の乳がんの若年齢化が進んでいる点も危惧されます。
ステージ別分類
ステージ(病期分類)とは、がんの進行度のことです。
乳がんはステージ1までを早期がんと定義しており、ステージ1までの早期乳がんであれば、適切な治療を行うことで5年生存率は90%代後半と高く、一般的には「治るがん」とされています。
全国統計での乳がん診断時のステージ分類は、ステージ0が約10%、ステージ1が40~45%、ステージ2が約20~25%です。
当院で乳がんと診断された56人の患者様のステージの比率を見ると、ステージ1の早期がんで発見された患者様が明らかに少なく、ステージ2で診断された患者様が統計の2倍です。
乳がんを早期がんのうちに発見するためには乳がん検診しかありませんのが、 福岡市中央区は働く女性が多く、乳がん検診を受ける時間や機会のない女性が多いことを反映しているのかもしれません。
発見契機別分類
乳がんが見つかるきっかけは、しこりや痛みなどの症状があって乳腺外科を受診して発見される割合が60~70%で、残りは全くの無症状で、乳がん検診で偶然発見されるものです。
言わずもがな、後者の比率が高ければ高いほど早期がんの比率も上がるため理想的です。
しかし、当院で乳がんと診断された56名の患者様の発見契機を見ると、既に症状があって発見された患者様が84%と統計よりも多く、乳がん検診で偶然発見された患者様は統計の半分ほどです。前述のステージ分類で早期がんの比率が少なかったことと相関している印象です。
これらの統計から推察されることは、福岡市の乳がん検診受診率はまだまだ低いということであり、令和6年度の課題はやはり乳がん検診の啓発となります。