回答
①当院では35歳からの毎年の乳癌検診を勧めています。
マンモグラフィと超音波(エコー)の両方とも必要なのか?超音波(エコー)だけで十分なのか?は患者様ごとに異なりますので、最適な検診項目を患者様ごとに説明しています。
②お母様やご姉妹が乳癌にかかられている場合は、20代半ばからの超音波(エコー)検診を勧めています。
解説
日本乳癌学会は40歳以上の女性に「2年に1回のマンモグラフィ検診」を勧めています。
なぜ40歳からなのかというと、統計的に乳癌は40歳代で最も罹患率が高いからです。
これを受けて、全国の自治体は40歳以上の女性に対して2年に1回、マンモグラフィ検診の費用を一部補助していますので、40歳になる年は無料で、それ以降は2年毎に千数百円のご負担で受けることができます。
ただし、超音波(エコー)はこれに含まれておらず、自治体の補助は2年に1回だけです。この理由は、マンモグラフィに比べて超音波(エコー)は検査時間が2~3倍かかる上に、乳癌以外の良性のしこりも検出してしまうため費用対効果が悪いことと、一般的に乳癌は進行が遅い癌であるため、2年間放置していても早期癌のままであることが多いからです。
*補助金は公費から負担されているため、年齢問わず全ての女性に毎年マンモグラフィもエコーも無料で・・・というわけにはいかないのが現状です。
ただし、上記の一般例からは外して考えた方がよい女性も当然います。乳癌の家族歴がある女性は、そうでない女性よりも当然リスクはあるわけですから、40歳未満からでも毎年検診を受けて頂いた方がよいですし、発生して1年で急速に進行する悪性度の高い乳癌も一定の割合であります。
参考までに、当院で乳癌と診断した患者様の内、40歳未満の方の割合を見てみると、2023年度が21%で、2024年度が18%でした。つまり、5人に1人は40歳未満です。
*乳癌は日本だけでなく世界中で女性のかかる癌の1位ですが、日本では低年齢化(40歳未満での発症)の進行も目立ちます。
日本乳癌学会のガイドラインで勧められている検診の開始年齢や項目は10年前に作成されたまま現在も変わっていませんが、患者様の立場で、実態に見合う内容の乳癌検診を行うことが大事です。
よって、当院では、家族歴が近い(お母様やご姉妹が乳癌にかかられている)場合は、20代半ばからの超音波(エコー)検診を、それ以外では35歳からの毎年の乳癌検診を勧めています。
参照)日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/p2023/gindex/100-2/q62/