コラム

2025.09.21

乳がん検診の被ばく(放射線量)のリスクについて

乳がん検診で撮影するマンモグラフィは、レントゲンやCTと同じく放射線を使用するため、被ばくを心配される方が多いです。
エコー検査(超音波)の方は放射線を使用しないため、被ばくのリスクは全く気にする必要がありません。産婦人科ではお腹の赤ちゃんにも行っている検査ですし、乳がん検診としても年に何回エコーを行っても問題はありません。 

マンモグラフィの被ばくと健康に与える影響を考えるに際して、まずはマンモグラフィで使用される放射線量がどれくらいなのかが大事です。以下に、様々な検査や普段の生活における放射線量をまとめてみました。
*単位のmSv(ミリシーベルト)とは・・・「放射線が身体に与える影響」を表す指標です 

  • 胸のレントゲン :0.05 mSv
  • 飛行機で東京~ニューヨークを往復 :0.2 mSv
  • マンモグラフィ : 両胸で計0.4mSv
  • 自然放射線(1年間に宇宙から浴びている放射線) : 2.1 mSv
  • CT検査 : 5~7mSv
  • PET検査 : 4~7 mSv

*参照:放射線医学研究所 『放射線被ばくの早見図』
https://www.qst.go.jp/uploaded/attachment/22422.pdf

会社の健康診断で受けた乳がん検診のマンモグラフィで異常が見つかり、当院で改めて精密検査としてマンモグラフィを撮影することは多々ありますが、これでも0.4+0.4で計0.8 mSvですので、CT検査に比べると遥かに少ないことが分かります。 

次に、何mSvを超えたら被ばくのリスク(健康被害)が現れるのかが大事です。
厚生労働省の指針では、業務として普段から放射線を扱う職種(放射線業務従事者)の方々は「5年間で100 mSvを超えないこと」を規則としています。つまり、1年間平均では20 mSvです。
*参照:厚生労働省 『改正 電離放射線障害防止規則
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000807285.pdf

まとめますと・・・
1年間で20 mSvまでは医学的に許容される。
マンモグラフィは年に2回撮影しても0.8 mSv
です。

マンモグラフィ検診により乳がんを早期発見・早期治療することで、乳がんは根治が目指せます。
医学的に、マンモグラフィのメリットは被ばくのデメリットを遥かに上回るため、安心して毎年の検診を受けてください。